<< 恐怖 | main | アメリカへ >>

スポンサーサイト

0
    • 2013.10.10 Thursday
    • -
    • -
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    一定期間更新がないため広告を表示しています


    ガラスの城の記録

    0
      手塚治虫の作品である。冷凍睡眠という科学技術によって25年間眠らされた人間が主人公である。主人公は冷凍睡眠によって、良心を破壊されており、さまざまな事件を巻き起こす、そういったストーリーである。

      作品自体は、手塚らしく、極めて上手くまとまっている。この作品に関しては若干それが悪い方に出てしまい、上手くまとまりすぎてつまらないという点はある(面白くなる前に打ち切られてしまったようにも見える)。

      問題は秋田文庫にこの作品の解説として共に収録されている尾崎秀樹氏の評論である。彼はその中でこの作品をこのように読み解く、

      ストーリーは完結していないが、作者のねらいは明らかだ。機械の主人であったはずの人間が機械に犯され、脳細胞の異常をきたし、人間社会の秩序の破壊者となるといった内容を通して、厳しい警告を発しているのだ。汚染による自然環境の破壊が、私たちの日常生活をおびやかしている現在、「ガラスの城の記録」が提示している問題は重要な意味をもつ。

      これは全く間違っている。まず尾崎は作者が「厳しい警告を発している」というが、何に対して警告を発しているのか作中の表現では極めて不明瞭である。尾崎はこの警告の対象として「汚染による自然環境の破壊」を提示するが、何故、冷凍睡眠による良心の破壊が環境破壊に対する警告となるのかは不明瞭である。

      たしかに手塚はしばしば、作中で科学技術に対する懐疑を描くことがあり、それが主題となる作品もあるが(例としてアトムの最後を参照されたい)、この作品では上記のような理由によって、科学への懐疑が主題とはなり得ない。

      この作品の主題は、前半部で主人公として描かれている冷凍睡眠で良心と愛情という感情を破壊された一郎と、後半部で台頭してくるもう一人の良心と愛の具象として描かれるキャラクター、本日の争いを通して、それらの重要性を問うことであり、また、そのように見ることの方がはるかに合理的で説明しやすい。

      この作品に寄せられている尾崎の評論には他にも意味をなさない部分が散見され、全体としてのまとまりもない。劣悪な批評文である。

      スポンサーサイト

      0
        • 2013.10.10 Thursday
        • -
        • 03:08
        • -
        • -
        • -
        • -
        • by スポンサードリンク

        コメント
        コメントする









        この記事のトラックバックURL
        トラックバック
        calendar
           1234
        567891011
        12131415161718
        19202122232425
        2627282930  
        << November 2017 >>
        PR
        selected entries
        categories
        archives
        recent comment
        recent trackback
        recommend
        ロッキー・ザ・ファイナル (特別編)
        ロッキー・ザ・ファイナル (特別編) (JUGEMレビュー »)

        ロッキーカムバックを証明する作品。レビューは2007/10/19を参照されたい。
        recommend
        シンデレラマン
        シンデレラマン (JUGEMレビュー »)

        ボクシングファンには面白い映画。ただマジソンスクエアガーデン、何それ?って人にはむかないかも。レビューは8/27のものを。
        recommend
        シグルイ 1 (1) (チャンピオンREDコミックス)
        シグルイ 1 (1) (チャンピオンREDコミックス) (JUGEMレビュー »)
        南條 範夫,山口 貴由
        山口氏の世界観と武士道の奇妙な融合が楽しめます。「やってくれた哉」など、奇怪な言葉(武家言葉ではない気がする)が飛び交う世界。そして、「武家の風習」がさも正しげに書いてありますが、やっぱりちょっとずれてる気がする。正に「士狂い」の世界。レビューは9/18のものを参照ください。
        recommend
        鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活
        鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 (JUGEMレビュー »)
        H.シュテュンプケ 日高 敏隆 羽田 節子
        空想上で哺乳類の目を一つ作ってしまい、しかも詳細をがちがちに作りこんだ所が大好きです。
        recommend
        RAINBOW 1 (1)
        RAINBOW 1 (1) (JUGEMレビュー »)
        安部 譲二, 柿崎 正澄
        お勧めです。読むと、「安部譲二でもやっぱり作家なんだなあ、漫画家とはちょっと違うんだなあ」とふと思ったりするかも。レビューは1/6のものを
        recommend
        現代マンガの全体像
        現代マンガの全体像 (JUGEMレビュー »)
        呉 智英
        僕の知る限り、もっともすばらしい漫画評論の単行本、評論の本なのでレビューはなし
        recommend
        ロートレック荘事件
        ロートレック荘事件 (JUGEMレビュー »)
        筒井 康隆
        大変お勧め。推理小説として、他に類を見ない技法。レビューは6/5のものを参照下さい
        recommend
        鉄腕ガール (3)
        鉄腕ガール (3) (JUGEMレビュー »)
        高橋 ツトム
        お勧めです。調べたら、文庫版でも出てるらしい。できることならコミックスでどうぞ。レビューは5/6のものを参照下さい
        recommend
        医学の10大発見―その歴史の真実
        医学の10大発見―その歴史の真実 (JUGEMレビュー »)
        マイヤー フリードマン ジェラルド・W. フリードランド Meyer Friedman Gerald W. Friedland 鈴木 邑
        すばらしい一冊。教養人たるあなたの本棚に是非。レビューは5/1のものを参照下さい。
        recommend
        覚悟のススメ 1 (1)
        覚悟のススメ 1 (1) (JUGEMレビュー »)
        山口 貴由
        好みがあえば面白い。レビューは7/25日のものを参照されたい。
        links
        profile
        search this site.
        others
        mobile
        qrcode
        powered
        無料ブログ作成サービス JUGEM