ハウルの動く城

  • 2004.12.29 Wednesday
  • 02:19
どうもいろんな人のblogを見るとよかったという評価である。まず最初に言っておきたいのは僕もこの評価には基本的に同意するということである。この映画を以前徹底的にけなした、「ビッグフィッシュ」あたり、つまり、「まあ、ESSのアフタームービーディスカッションにはむくんじゃない?」レベルのものだとは思わない。

しかしながら、どうにも気に食わないのは今回の作品でかなり取り上げられた、ヒロインは老女という設定がほとんど生かされていないということである。この設定が使われていたのは、せいぜい序盤のヒロインがハウルの城にたどり着くところまでである。そのあとは、この設定はただ物語の発展を妨げるだけのものとなる。

これには宮崎も気付いていたようで、後半に入ってからは随所でヒロインは突然、髪は白いままだが顔は若返るという奇妙な状態になる。ひょっとしたらこの状態に関してはなんらかの注意深く見れば気づける伏線があるのかもしれないが僕には見当たらなかった。しかしながら重要なことは、伏線があるにしろ、ないにしろ、そもそもそんな邪魔な設定ならば使わなければいいというところである。

かつて宮崎は、「紅の豚」で「ヒーローは豚であってもつとまる」ということを証明した。事実、紅の豚の中ではヒーローは一度しか人間に戻っていない。今回のハウルの動く城に脇役で出てくる案山子ですら、結構ヒーローしていた。

しかしながら、今回のヒロインが老女という設定はやや失敗気味であったこと、そして、前回の「千と千尋の神隠し」でも、比較的不細工な子をヒロインに持ってきたときも結局は、千尋を次第にかわいらしく描かねばならなかったことを考えると、やはり、「ヒロインは美人でなければ描けない」というところが宮崎の限界であろうか。しかしながら、これほど成功し、かつ歳も経た状態でさらに新しいストーリー展開に挑戦しようとする意気込みはすばらしい注1

ちなみに、ヒーローに伊達男を使うという、おそらく彼の初めての挑戦にはどうやら成功しているといっていいと考える。

注1 動く城の描写に関しては、(もちろん原作となる小説が存在することは知っているが)「宮崎駿の雑想ノート」に納められている、「多砲塔戦車」に関する考察が原点になっているものではないかと想像する。そこでのシナリオラフでは、宮崎らしい、少年と少女の冒険物語が書かれていたことから、やはり、今回の作品に際して宮崎なりに、新分野に挑戦しようとしたのであろうということが推察される。



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  • 2019.05.02 Thursday
  • 02:19
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    コメント
    ソフィーが若返って見えるときは常にハウルを守ろうとしているときな気がいたが。
    ソフィーの生きる意思と連動してるんじゃないの?もしくは愛情。
    呪いをかけられる前のソフィーには何に対する愛情も生きる意味も何もなかった風に描かれてるし。
    そういう意味ではソフィーが若返ったりするのはかなり重要な意味を持ってると思う。
    たとえ、そういう意図がなかったとしても俺はそうであったと信じる。

    俺は、ラピュタとかとは違った面白さがあってかなり好きっす。もっかい見よう。
    • 5冠王
    • 2004/12/29 2:32 AM
    五冠王に禿同。あの呪いはソフィーの気持ちに連動してたっぽいよね。個人的には、サリバンに啖呵を切るときに、どっちもハウルについて触れているにも関わらず、自信満々に喋ってる前半は若返って、少し自信なさげになった後半は老けて、ってのがあったんで、おそらくソフィーの生きる意志とか、自分自身に対する自信とか、その辺とリンクしているような気がしたな。

    便乗してみますた。
    • キセルさん@武蔵関
    • 2004/12/29 5:16 PM
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